IDSーGINZAとは

 IDSーGINZAとは、元日本歯科大学教授石川晴夫が2000年10月、東京、銀座にIDSーGINZA・Total Solutions for Orthodontics と称して、基礎から高度な治療戦略に至るまでの臨床歯科矯正学を修得するための研修施設です。

その基本理念とは?

 積極的に歯並びをなおそうとする機運は、幼児、若年者、成人を問わず、高まる一方です。何故だろうか? 歯並びが悪いと虫歯、歯周病、あるいは顎関節症などになり易いからだろうか?巷でよく囁かられている話しです。これは本当でしょうか? そんなことよりも心の奥底ではもっと快適な生活がしたい、健康な人生を送りたいと考えて、矯正治療を考えて人が多いのではないでしょうか。
 矯正治療が社会から広く認知され、矯正治療受診者の増加も著しい反面、不満や苦情も増え、訴訟となる事例も珍しくありません。矯正治療に携わる歯科医は、一般歯科医、矯正歯科専門医に関係なく、歯並びに対する社会の多岐に渡るニーズに呼応していくために成長発育をはじめとした基礎的な学問、臨床的な矯正装置の運用に関する知識、技術、技能が一層求められることはいうまでもありませんが、それらを身に付けると同時に医療に携わる一人として「病気と健康」との関係に目を向け、「医療の本質」とは何かを自らに問いかけ、さらに、何故、人は矯正治療を希望するのか、また、矯正治療とは何かを考え直す必要があります。
 健康の定義も社会の変化に伴い大きく変わってきています。単に病気でないという狭義の意味からWHOの定義で謳われているような「精神的にも肉体的にも優れ、快適な生活を送ることのできる状態とする」との広義な考えが広く受け入れられ、患者さん自身が生活の質(Quality of Life)の維持、向上のために積極的に治療への関わりを持つようになりました。その結果、治療についての意思決定権が患者本人に委ねられる患者参画型医療が浸透してきました。矯正治療においても従来から行なわれている疾患志向型の医療から患者中心の医療、すなわち問題志向型医療へとパラダイムシフトする必要性が言われています。なぜなら、歯並びの悪いこと(不正咬合)は通常、病気とはいえないので、検査、診察から得られる科学的データだけに重きを置くのではなく、患者の語り、物語に注目し(NBM;Narrative-based Medicine)、患者のQOLを尊重した問題志向型医療(POS;Problem-oriented system) が求められるからです。
 本研修会の基本理念は、健康から矯正治療の意義、存在理由を考え、治療目的を「健康の維持、増進」とし、治療のゴールを「生活の質の向上や健康志向な生活をおくることが出来るような歯列・咬合の獲得」とし、よく耳にする「歯並びが悪いと虫歯、歯周病、あるいは顎関節症になり易い」とし、「不正咬合を正常咬合にする」とするような画一的な治療目的、治療ゴールから脱却し、患者さんの歯並びに対する思い、要望、期待に応え得る矯正臨床の実践を目指すことです。

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